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道具箱

 尺八製管時に使用する道具や製管師の独特な言い回しなどの用語集。ここでは、尺八の保管方法や尺八本体のことから、尺八の製管に使用する道具の紹介や製管師が使う独特な言い回しなどを解説していく。

かっぽ酒

 尺八吹きなら知っていてほしい、竹の霊水・かっぽ酒。竹筒に酒を入れて徳利代わりにし、さらにそれを温めて燗するという野趣溢れる逸品であるが、それが竹の香を含んでえもいわれぬ美酒となる。
 野末での吹禅には是非、行なってほしい般若湯である。

かっぽ酒

 もともとは九州の高千穂地方で山仕事の木こりや猟師が、竹筒でお湯を沸かし、お茶を飲み始めたのがきっかけで、それがいつしかお酒に代わったといわれている。名称の由来は、注ぐときの「かっぽかっぽ」という音からだという。
 この竹筒を火に炙ることによって、竹が持つ水分や油分が内部に染み出し、独特の香りと栄養分が混ざることになる。

 このかっぽ酒をする場合、竹ならどれでも出来ないことはないが、一番良いのは淡竹(ハチク)といわれ、ついで真竹、孟宗竹の順である。が、やはり淡竹の香りは郡を抜いている。ただ、やや独特の青臭さはあるので慣れないうちは真竹などから始めるのがよいだろう。また、竹はできるだけその年に生えた一年ものを使う方が、油分水分の出がよく、香りも濃厚になる。酒は日本酒・焼酎どちらでもよく、高級酒を使う必要はない。2級酒が高級酒のような旨味になる。
 竹の切り方は、節を残して注ぎ口を斜めに切り落とし、節に穴を開けて酒を注ぐ。私は竹に鋸目を入れて少し割って一部分を残し、注ぎ口を作っている。また焚き火や囲炉裏にたけかけるために支える側を十分に取ったり、土中に差し込みやすく斜めに切るのもよい。
 あとは単純で、囲炉裏や焚き火の火の回りにたけかけたりするなどして、ゆっくりと温める。直火ですれば早いが、持つところが炭化したり、煤だらけになって手が汚れる。お湯につけて燗してもよい。基本的には一回用で、使いまわす度に竹の香が失われる。あとは余った竹材でぐい呑みでも作っておけば完璧。

 我が家では、年末のこの時期に竹飾りを作った残りで、晩酌するのが恒例になりつつある。普通に日本酒を飲むのに比べて、悪酔いしない気がする。飯盒代わりにご飯やかやく飯を炊くのも最高に旨い。
 笹の露というように古来の日本では酒のことを「ササ」と呼んでいた。これは、古代日本で竹筒に入れていた果実などが自然発酵してお酒になったことに由来するという。特に熊笹を入れると清潔で清純な良い酒になったという。